速度フィルタをいじった日時やその時の記憶は明確にありますが、それがこんなトラブルを招くとは思いもよらず、解決するのに丸一日費やしてしまいました。
X,Y軸はASシリーズというステッピングモーター。音が大きめ
オリエンタルモーター製のαステップシリーズの初期のタイプで、クローズドループ制御により定格動作では「脱調」しないモーターです。この初期タイプはステッピングモーター特有の「チュイーン音」が結構気になります。モータードライバに「速度フィルタ設定」というDIPSWがあり、音が静かになるのをよいことにMAX設定していました。
パルス波形を整形し振動を抑える役割かと勝手に解釈していた。マニュアルをよく見ると、波形整形ではなく加減速整形でした。
「フィルタ」の前に「速度」がついてるので考えればわかりそうなものですが、思い違いをしてました。加減速に一次遅れを追加するものでした。最大に設定していたので「82ms」の時定数が加えられていました。例えば一番上の写真の穴はφ3の軌道を800mm/sで加工したので、単純に計算しても約1mm遅れるのです。X軸とY軸でそれぞれ1mm遅れるので斜めの楕円状になっていたわけです。
円弧補間を繰り返すと原点がずれる。
じつに恐ろしいことが並行して起こりました。確認のため円弧補間を繰り返してると原点がずれてきました。ずれるタイミングは結局わかりませんでしたが直線補間では起こらないので、円弧補間中の動作と速度フィルタが影響しているものと思われます。
いわゆるリサージュ曲線。ミリ単位でずれてくれたので発見できてよかった。そういえば、直角加工の角もダレていたことに後から気づいた。フィルタをゼロにしたら、すべておさまった。
まさにその通りで、中途半端なフィルタ設定でしたらなかなか気付かなかったかもしれません。あとからいろいろ現象が蘇ってきて、安易に変更したのが悔やまれます。
新しいARシリーズは、結構静か
Z軸は、3号機製作時に新しいαステップシリーズ「AR」に交換しています。こちらは結構静かです。これこそパルス整形しているのではないでしょうか。